FXで人民元でトレードしてみたいけど、イマイチよく分からない…。
人民元の特徴や、リスクってどうなんだろう?
CNHとCNYって違いがあるの?
というわけで今回は、これらの疑問について解説します。
人民元の通貨としての3つの特徴
人民元でトレードするなら、ますは通貨の特徴を理解してことが大切です。
人民元の主な特徴は以下の3点。
①チャートの値動きが安定している
②他のメジャー通貨よりも為替レートが安い
③消滅するリスクが低い信用のある通貨
順番に詳しく解説します。
チャートの値動きが安定している
人民元はFX初心者にも、オススメできる通貨です。
なぜなら為替チャートが基本的に±2%で制限されていて、値動きが比較的安定しているからです。
人民元は朝にレートの基準値が決まり、この基準値から±2%の範囲内で1日の為替チャートは制限されます。
そのため値動きの幅が小さく、大きな失敗をする可能性が低いのが特徴です。
こうしたチャートの値動きが安定した相場でトレードに慣れることは、FXを上達させて行くうえでは非常に重要です。
初心者がトレードスキルを磨くには、人民元は扱いやすい通貨と言えるでしょう。
他のメジャー通貨よりも為替レートが安い
人民元は円と為替をした時に、他のメジャー通貨よりも為替レートが安いのが特徴です。
現在は人民元よりも円の方が価格が高いので、人民元/円でトレードする時には、価格差で少ない資金からトレードできます。
例えば2023年1月の時点で、10,000通貨のトレードをする場合。
以下の通貨ペアでは、それぞれ必要証拠金が大きく違います。
取引通貨 必要証拠金
ドル/円 54,000円
ユーロ/円 58,000円
ポンド/円 65,000円
豪ドル/円 37,000円
NZドル/円 34,000円
人民元/円 8,000円
表のように他の通貨と比べて、人民元/円は必要証拠金が少なく済むので、少ない資金からトレードできます。
この点からも人民元は、FX初心者には扱いやすい通貨と言えます。
消滅するリスクが低く信用がある
通貨の消滅はありえないことではなく、実際に過去にはジンバブエドルがインフレが進み過ぎて消滅しています。
この点、人民元は中国の通貨。
世界的にも信用があり、滅多なことでは通貨が消滅しないことが特徴です。
人民元に信用がある理由ですが、2016年に国際通貨基金(IMF)が、人民元を特別引出権に組み込みました。
特別引出権に組み込まれることで、「国際通貨」として認められたことになります。
2022年8月1日の時点で、特別引出権のバスケット比率(内訳)は、以下のようになっています。
通貨 バスケット比率
米ドル 43.38%
ユーロ 29.31%
人民元 12.28%
日本円 7.59%
英ポンド 7.44%
上記の表から分かるように、人民元は米ドル・ユーロに次いで3番目に信用のある通貨です。
世界的にも信用があり、トレードポジションを持ったままでも消滅する危険性が低く、リスクが低い通貨と言えます。
人民元が抱える3つのリスク
ここまで人民元の特徴について解説しましたが、当然リスクもあります。
人民元のリスクは以下の3点。
①地政学リスク
②経済的なリスク
③為替レートの操作リスク
順番に解説します。
隣国との地政学リスク
地政学リスクとは、ある特定の地域の地理的な関係により、その特定の地域経済や世界経済に影響を及ぼすリスクのことです。
中国は広大な土地を持ち、複数の国々と隣接しています。
友好的な関係を保っていれば良いですが、対立関係になった時は通貨の安定性も懸念されます。
つまりFXにおいては、人民元の通貨価値が急落するリスクがあるのです。
地政学リスクの例としては、北朝鮮やロシアとの関係。
北朝鮮はたびたびミサイルの弾道テストをしており、世界各国から経済的措置を受けています。
ロシアは現在、北朝鮮と友好的な関係を保っていますが、中国はそれを良く思ってはいません。
何らかの原因で北朝鮮やロシアと対立関係になった時には、地政学リスクが高まり通貨の安定性にも影響を及ぼすでしょう。
人口が多い経済的なリスク
中国は経済大国ですが、現在は経済成長が衰えてきており経済的なリスクもあります。
経済的なリスクがあるという事は当然、通貨の価値も低下するリスクがあることになります。
中国は人口に対して経済が追い付いていないので、国内消費が低下する可能性があるのが主な懸念点です。
中国の人口は約14億人で、この人口を補っていくには国内総生産(GDP)の成長率が、2桁必要だと言われています。
しかし現在の中国のGDP成長率は、8.1%と厳しい状況です。
GDP成長率が総人口に対して基準に達していないと、経済が低迷する可能性があり、結果として通貨の価値が低下する可能性があるのです。
為替レートが操作されるリスク
人民元は中国人民銀行が定めている、レート水準に合わせて変動します。
これは言い換えればレートを誘導されているとも言えるので、為替レートが操作されるリスクがあります。
皆さん、チャイナショックを聞いたことはありますよね?
チャイナショックは人民元の切り下げの影響で、世界経済にダメージを与えました。
実はチャイナショックも、為替レートの操作ではないかと言われています。
実際に2019年の8月5日、米国が中国を『為替操作国』に認定しており、関税引き上げ等を検討していました。
※現在は中国の為替操作国認定を取り消しています。
また管理変動相場制度を採用したため、中国政府が影響力を持つことになり、中国人民銀行の1強ではなくなりました。
現在は中国政府が為替を管理しているので、為替レート操作のリスクは大幅に軽減されました。
しかし、リスクが100%無いとも言い切れません。
人民元でトレードする際は、為替レート操作のリスクがあることも忘れてはいけません。
CNHとCNYの違いは気にしなくて良い
CNHとCNYの違いによって、トレードに影響するのでしょうか?
結論から言うと、
・国外で取引するか?(CNH)
・中国国内で取引するか?(CNY)
だけなので、トレード自体には影響しません。
特徴やリスクもほぼ同一です。
私たちが取引するのは、国外取引のCNHの方なので扱う通貨は1つです。
CNHとCNYの違いを気にする必要はありません。
他の通貨と同様、自分のルールに沿ってトレードすればOKです。
【結論】人民元はメイントレードには向かない
人民元は通貨の価値もあり、相場も安定しています。
なのでトレードする価値はあると言えます。
ただ、優先的にトレードする通貨か?と言えば、そうではありません。
なぜなら人民元よりトレードしやすく、信用も高い通貨があるからです。
そう、ドル/円ですね。
ドル/円と人民元/円を比べて、どちらが安心して取引できるでしょうか?
私はドル/円です。
人民元は確かにトレードする価値はありますが、ドル/円の方が優先度が高いです。
ドル/円をメインでトレードして、人民元をスポットでトレードする。
こういう運用の方が、安定感が高くなるでしょう。