FXにおけるロンドンフィックスの特徴について解説します。
記事の後半には、NYオプションカットの影響についてもご紹介します。
- FXのロンドンフィックスとその意義
- 市場が活発になるのは月末・期末・年末
- ユーロ、英ポンド、米ドルは影響を受けやすい
- ロンドンフィックストレードを利用する方法
- ロンドンフィックスとNYオプションカット
- NYオプションカットとのタイミングの重要性
- ロンドンフィックスのまとめ
FXのロンドンフィックスとその意義
「ロンドンフィックス(LONDON FIX)」は、イギリス・ロンドンの市場で設定される、顧客向け外貨交換の基準為替レートを定めるプロセスです。
このプロセスは東京市場の「仲値」に似ており、「ロンドンフィキシング(LONDON FIXING)」や短縮して「ロンフィク」とも呼ばれます。
この基準レートはロンドン時間の16時に設定され、夏時間では日本時間の24時、標準時間では日本時間の1時に相当します。
このレートは日々の通貨交換や、企業間取引の基準となります。
レート設定周辺では様々な市場参加者の思惑が交差し、価格変動が激しくなる傾向があるため、ロンドンフィックスの時間帯にはFXトレードに特別な注意が必要です。
ロンドン市場は貴金属取引が盛んであり、特に金の取引レートもロンドンフィックスによって決定されるため、為替市場にも大きな影響を与える要因の一つとされています。
市場が活発になるのは月末・期末・年末
ロンドンフィックスは週末を除く毎日行われますが、特に市場が動きやすいのは月末、期末、年末です。
この時期は投資信託や年金基金、ヘッジファンドなどの機関投資家が大規模な取引を行うため、市場が活発になります。
ポートフォリオの調整、「リバランス」がその理由です。
例えば、ある投資家が設定したポートフォリオ比率が市場の変動によりズレた場合、元の比率に戻すためにリバランスを行います。
リバランスを実行する際には、外国の株や債券の売買に伴い、為替取引が生じることがあります。
その結果、リバランス関連の取引が月末・期末・年末のロンドンフィックス時に集中する傾向にあります。
また、期末等には輸出企業の決算に関連した通貨の買戻しが集中することもあり、これが為替市場の変動を促す要因となります。
さらに、これらの取引に対する投機筋の活動が市場の動きをさらに加速させるため、ロンドンフィックス時の月末・期末・年末は特に市場の焦点となります。
ユーロ、英ポンド、米ドルは影響を受けやすい
ロンドンフィックス時には特定の通貨が活発になる傾向があり、それは地理的、経済的な要因によるものです。
英国と欧州の経済的連携は密接であり、ユーロや英ポンドはロンドンフィックスの影響を強く受けます。
金の現物取引が米ドルで行われることから、ロンドンフィックスでは米ドルも大きく動くことがあります。
したがって、ユーロ、英ポンド、米ドルはロンドンフィックスの際に特に注目される通貨と言えます。
相場の動きに明確な傾向があるかというと、その答えはノーです。
ロンドンフィックスでは、上昇するのか、下降するのかはその時々の市場の状況に依存します。
ロンドンフィックスは特に方向性の傾向がなく、ユーロ、英ポンド、米ドルを中心に市場は動きやすい、と理解することが重要です。
ロンドンフィックストレードを利用する方法
月末、期末、年末が近づくと、ロンドンフィックスに関連する市場の動向が注目されます。
「米ドル売りが見込まれる月末」や「ユーロ買いが予想される期末」といった観測は、相場の方向性を示唆するものです。
しかし、市場は常に予測不可能であり、観測通りに動くこともあれば、全く異なる動きをすることもあります。
東京市場の仲値トレードが特定の傾向に基づく手法として知られている一方で、ロンドンフィックスでは相場の方向性に明確な規則は存在しません。
それでも、ロンドンフィックスの市場の動きや観測を利用したトレードは、ある条件下では有効な戦略となり得ます。
ロンドンフィックスの不確実性を理解し、それを踏まえた上でのトレードは、リスク管理を含めた慎重な計画が必要です。
ロンドンフィックストレードの戦略は様々ですが、市場の動向を見極め、適切なタイミングでの行動が求められます。
ロンドンフィックスとNYオプションカット
ロンドンフィックスの時間帯は、米国の経済指標の発表や株式市場の開始時間と重なり、これらは相場の動きを活発にする要因の一つです。
特に注目すべきは「NYオプションカット」の時間です。
「NYオプションカット」とは、通貨オプションの権利行使が終了する時刻を指し、この時刻には市場での攻防が激しくなる傾向があります。
オプションの満期が近づくと、関連する通貨のレートがオプションの設定水準に、引き寄せられる現象が見られます。
権利行使期限の到来とともに、この水準での攻防は終わりを告げ、市場は新たな動きを見せます。
NYオプションカットの時間は、ニューヨーク時間の午前10時、日本時間では夏時間中は23時、標準時間中は24時に設定されています。
NYオプションカットとのタイミングの重要性
英国と米国が夏時間を採用している場合、NYオプションカットは日本時間23時、ロンドンフィックスは24時となり、英国と米国が標準時間を採用している場合は、それぞれ24時と翌1時に設定されます。
英国と米国の夏時間・標準時間の適用期間は、わずかに異なります。
この差異により、ロンドンフィックスとNYオプションカットのタイミングが、年に2回、日本時間24時で重なることがあります。
このタイミングの重複は、FX取引において特に注意が必要な時期となります。
ロンドンフィックスのまとめ
ロンドンフィックスの期間中、特に月末・期末・年末は、ユーロ、英ポンド、米ドルに関連した通貨ペアが動きやすい状況になります。
相場の方向性に明確な傾向があるわけではないものの、市場の観測や特定の時期における動きやすさを利用したトレードが有効になり得ます。
さらにNYオプションカットと、ロンドンフィックスの時間が重なることがあり、これらの時間帯はFX取引における重要なポイントとして考慮する必要があります。