「FX取引で両建て戦略は無敵と言えるのか?」
「両建てとは具体的に何を指すのか?」
FXでの収益向上や確実な勝利法を探求する中で、「両建て」という用語が頻繁に登場します。
両建てとは、一つの通貨ペアに対して買いと売りの注文を同時に行い、保持することを指します。
この戦略は、FXに限らず株式市場でも活用されており、利益確保や損失リスクの低減に寄与します。
しかしながら、両建て戦略がFX取引での絶対的な勝利法とは言えません。
両建てが最も優れているとの情報を鵜呑みにすると、予期せぬ損失を招く恐れもあります。
この記事では、FX初心者が両建て戦略の概要、利用方法、メリット・デメリット、注意すべき点を理解できるように詳細に説明しています。
さらに両建てが、なぜ最強とされるのかについても詳しく解説していますので、是非参照してみてください。
- FXの両建て戦略:買いと売りを同時に行う技術
- FXで両建てを利用するメリット
- FXで両建てを利用するデメリット
- FXで両建てが「最強」といわれる理由
- FXで両建てをする際の注意点
- 両建ては最強についての質問
- まとめ
FXの両建て戦略:買いと売りを同時に行う技術
FXでの両建て戦略について詳しく見てみましょう。
そもそも両建て戦略とは?
1. 同一通貨ペアに対する買いポジションと売りポジションを同時に持つこと
2. 両ポジションを同量で保持することで、必要な証拠金が相殺される
3. 一方のポジションが損失を出しても、他方は利益を出す
同一通貨ペアで買いポジションと売りポジションを同時に持つと、必要な証拠金が相殺されます。
FXでは、注文時と決済時の価格差が利益や損失になるため、一方が損失を出せば、もう一方は利益を出します。
この特性を利用して取引すれば、「リスクを抑えつつ利益を得る」ことができると、両建てを支持するトレーダーは主張します。
注文した瞬間にスプレッドの分だけ損失が出るため、一時的に両ポジションがマイナスになることもあります。
FXで両建てを利用するメリット
FXで両建てを行う主な利点は以下の3点です。
FXでの両建ての利点
1. 証拠金相殺による強制ロスカットの回避
2. 含み損益の固定
3. 年末取引時の税金対策
FX取引を行っていると、「これから価格がどちらに動くか予測できない…」という状況にしばしば直面します。
そうした時に役立つのが両建てです。
また、両建てを活用することで税金対策にもなりますので、ぜひ詳細をご確認ください。
証拠金相殺による強制ロスカットの回避
同一通貨ペアで両建てを行うと、買いポジションと売りポジションに必要な証拠金が相殺されます。
このメカニズムを利用することで、一時的に強制ロスカットを回避できます。
FXでは、証拠金維持率が一定の水準に達すると、保有しているポジションが強制的に決済されます。
これを強制ロスカットと呼びます。
保有ポジションの評価損益がマイナスに転じ、損失が増加すると証拠金維持率が下降します。
証拠金維持率を維持するためには、自らポジションを決済するか、追加資金を投じる必要があります。
しかし、ポジションを自ら決済すると損失が確定してしまい、追加資金を用意する時間がない場合もあります。
そうした時に、迅速に対応できるのが両建てです。
両建てにより、強制ロスカットを回避できる流れは以下の通りです。
1. 証拠金維持率が下降してきたら、保有しているポジションと逆のポジションを開く
2. 完全な両建て状態になると、証拠金維持率と総損益が固定されます
3. 元のポジションの価格が回復したら、後から開いたポジションを決済します
後に開いたポジションでわずかな損失が出る場合がありますが、元々保有していたポジションの大きな損失を避けられます。
両建て状態から追加資金を投入すれば、強制ロスカットのリスクなく証拠金維持率を高めることができます。
含み損益の固定
両建てを行うと、その時点での含み損益が固定されます。
例えば、現在保有している米ドル/円の買いポジションが1万円のマイナスになった場合、同量の売りポジションを開けば、その後米ドル/円の価格がどれだけ下がっても、総評価損益はマイナス1万円に固定されます。
買いポジションが2万円のマイナスになったとしても、その時は売りポジションが1万円のプラスになり、結果的にトータルの損益はマイナス1万円に保たれます。
含み損益が固定されると、チャート分析を再度行う時間が確保できます。
既にマイナスのポジションを保持するか、後で開いたポジションを保持するか、冷静に決断できるようになります。
年末取引における税金対策
両建て戦略は、税金対策にも役立ちます。
FXトレーダーは、年間の利益と経費を計算し、「1月1日から12月31日」の期間に稼いだ所得を翌年の3月15日までに申告する必要があります。
これが確定申告です。
例えば、12月20日頃から保有している注文の含み益が10万円に達した場合、その注文を12月31日前に決済すると、その年の利益として計上されます。
しかし、両建てで利益を固定し年が明けてから決済すると、その利益は翌年の所得として計上できます。
サラリーマンの場合、年間所得が20万円以下であれば確定申告の必要がありません。
また、海外FXの利益には所得額に応じて税率が変動する累進課税が適用されるため、所得額を調整することで税額を抑えることが可能です。
つまり、「この注文を年内に決済すると税率が上昇し、利益が〇〇万円以上になる」といった場合には、両建てでの含み益固定が効果的です。
FXで両建てを利用するデメリット
次にFXでの両建てには、次のようなデメリットがあります。
FXで両建てを利用する際の主な欠点
1. 長期間の両建てによるスワップポイントのマイナス増加
2. スプレッドによる追加コスト
3. 両方のポジションが長期間解決されないリスク
これらの主要なデメリットについて、詳細を見ていきましょう。
長期間はスワップポイントのマイナス増加
FX取引においてスワップポイントは、2国間の金利差を調整するために発生する金額です。
このスワップポイントにはプラスとマイナスの両方が存在し、長期間にわたる両建て取引を続けることで、スワップポイントの差額によるマイナスが蓄積されていきます。
金利が低い国の通貨を売り、高い国の通貨を買う場合、プラスのスワップポイントを受け取ることができますが、その逆の場合はマイナスのスワップを支払うことになります。
買い注文と売り注文のスワップポイントを合算すると、結果としてマイナスになりがちです。
これはFX業者による共通の条件であり、2国間の金利状況によっては両方のポジションで、マイナススワップが発生することもあります。
短期間の保有であれば、スワップポイントが±0になる可能性もありますが、両建てを数日以上続けると、マイナスが大きくなる傾向があります。
スプレッドによる追加コスト
FX取引では、注文を出すたびに発生する、スプレッドというコストが存在します。
両建て取引を行うと、買い注文と売り注文の両方でスプレッドが発生するため、繰り返し取引を行うことはコスト増加に繋がります。
例えば、スプレッドが1.0pipsの場合、1万通貨を取引した際には100円のコストが発生します。
両建てをすることで、スプレッドによるコストは相殺されず、実質的に2倍のスプレッドを支払うことになります。
両方のポジションが長期間解決されない
両建ては経験豊富なトレーダーであっても、判断に迷うことがあります。
特に初心者の場合、どのポジションをいつ解消すべきか判断するのが難しく、「塩漬け状態」となるリスクがあります。
含み損が発生し、さらに証拠金維持率が強制ロスカットの水準に近づいている場合、両建ての解消には特に慎重な対応が必要です。
誤って決済を行うと、両建てを解除した後に強制ロスカットのリスクが高まります。
このように、両建て取引には短期的なリスク回避策としての利点がある一方で、長期的な視点やコスト面でのデメリットも考慮する必要があります。
FX取引における両建て戦略が「最強」と評されることがあるのは、理論上での柔軟性と潜在的な利益の最大化にあります。
この手法は確かに全てのトレーダーにとって万能の戦略とは言えませんが、特定の状況下でその真価を発揮することがあります。
その理由を以下に紹介します。
FXで両建てが「最強」といわれる理由
1. 長期ポジションを保持しつつ、短期取引で収益を上げることができる。
2. 為替レートの急変動時に、どちらの方向にも対応できる柔軟性を持つ。
3. 理論上、両建てナンピン戦略を適切に管理することでリスクを抑えつつ利益を追求できる。
長期でも短期でも収益を上げる
両建て戦略が効果的に機能する場面の一つは、長期ポジションを保有しながら、市場の短期的な動きを利用して利益を上げる場合です。
①長期ポジション(例:買いポジション)を保持している中で、市場が一時的に反対方向(下落)に動いた場合、短期的な売りポジションを開いて利益を得ることができます。
②市場が再び上昇し始めたと感じたら、売りポジションを決済し、長期の買いポジションを継続します。
この方法で市場の波に乗じて、二重の利益を追求することが可能です。
③長期ポジションがプラスのスワップポイントを生む場合、それを受け取り続けることもでき、短期取引で得た利益と合わせて、より大きな収益を得ることができます。
このように両建て戦略を用いることで、長期と短期の市場動向の両方を利用し、収益機会を最大限に引き出すことが可能です。
ただし、この戦略は市場の動きを正確に予測し、適切にポジションを管理する能力を要求します。
またスワップポイントや、スプレッドなどのコストも考慮に入れる必要があります。
両建て戦略がFX取引で「最強」とされる理由には、市場の不確実性への柔軟な対応能力が挙げられます。
特に為替レートの急激な変動を予測しにくい場面で、この戦略は有効と考えられています。
以下に両建てが高く評価される、具体的な理由を解説します。
為替の急変時に両方の可能性にかけられる
両建て戦略を使う最大の利点の一つは、為替レートの急変動が予想される時に、リスクを分散させながら利益のチャンスを追求できることにあります。
重要な経済指標の発表や政治的なイベント、中央銀行の政策変更などがその典型的な例です。
①重要な経済指標の発表や中央銀行の要人の発言時には、為替市場が大きく動くことが多く、これらの動きを予測することは難しいものです。
両建てを用いることで、どちらの方向に動いても対応可能となり、柔軟に利益を追求できます。
②経済カレンダーを活用して、事前にこれらのイベントを把握し、戦略を立てることができます。
しかし市場の反応は予測が難しく、急激な価格変動によるリスクも考慮する必要があります。
理論上は両建てナンピン手法が最強
両建てナンピン手法は、市場の動きに柔軟に対応しながら損失を限定し、利益機会を増やすことを目的とした戦略です。
この手法は、価格が不利な方向に動いた時に、さらにポジションを増やすことで平均取得価格を調整し、市場が反転した際に利益を確保しやすくするものです。
両建てを使うことで損失を一定の範囲内に抑えつつ、市場が有利な方向に動いた時には、その利益を最大化できる可能性があります。
しかし、市場が予想と反対に長期間にわたって動くと、損失が膨らむリスクもあります。
またスプレッドのコストや、ポジション管理の複雑さも考慮する必要があります。
両建て戦略は、特定の状況下で非常に有効な手段となり得ます。
しかし、市場の動向を正確に読み解く能力、リスク管理の徹底、そして適切なタイミングでの決済戦略が重要となります。
完璧な戦略は存在しないため、これらの手法を実践する際には十分な知識と経験が必要です。
FX取引における両建て戦略は、その便利さとともにいくつかの重要な注意点があります。
これらの注意点を理解し適切に対処することが、両建て戦略を成功させる鍵となります。
FXで両建てをする際の注意点
初心者がFXの両建て手法に挑戦する際には、以下のポイントに特に注意してください。
①繰り返し両建てをするとコストが増える
両建て取引を繰り返すことで発生するスプレッドコストは、取引成績に直接的なマイナス影響を与えます。
②大半の海外FX業者では異口座での両建てを禁止している
特定の戦略を利用する前に、取引を行う業者の規約をしっかりと確認することが重要です。
③両建てをしても損失自体がなくなるわけではない
両建ては損失を一時的に回避する手段であり、市場が予想と反対に動いた場合には損失を拡大するリスクもあります。
④異なる口座での両建てには注意が必要
異口座での両建ては、違法または禁止されている場合が多く、発覚した際には重大なペナルティを受ける可能性があります。
繰り返し両建てをするとコストが増える
両建て取引を繰り返すと、その都度スプレッド分のコストが発生します。
これは取引の回数が増えるほどコストが累積し、利益を圧迫する要因となります。
特に市場が大きく動かない場合、このスプレッドコストが利益を上回る可能性があるため注意が必要です。
スプレッドのコスト計算を正確に理解し、取引の際にはそのコストを考慮する必要があります。
海外FX業者は異口座での両建てを禁止
多くの海外FX業者では、ゼロカットシステムを採用しており、異口座での両建てを禁止しています。
これは業者が追証を請求しない代わりに、損失を補填するシステムの悪用を防ぐためです。
異口座での両建ては、高い確率で利益を得ることができる可能性がありますが、業者によっては重い処分が下されるリスクもあります。
そのため両建てを行う際には、業者の規約をしっかりと確認しルールを守ることが重要です。
両建てしても損失自体はなくならない
両建て戦略は、一時的に損失の拡大を防ぐ効果がありますが、既に発生している損失を消し去るわけではありません。
最終的には別の取引で損失を上回る利益を出す、または損失を受け入れてポジションをクローズするなどの対応が必要になります。
両建てはリスク管理の一環として利用することができますが、損失回避の魔法の杖ではないことを理解しておく必要があります。
FXで両建て戦略を採用する際には、これらの注意点を念頭に置きながら、慎重に取引を行うことが求められます。
また初心者は特に、リスク管理や資金管理の基本をしっかりと学んだ上で、戦略を実践することが重要です。
両建ては最強についての質問
FX取引において「両建ては最強」という意見に対して、初心者や一部のトレーダーからよくある質問について整理しました。
これらの質問は、両建て戦略の理解を深める上で役立つものです。
FXの両建ては絶対に負けない必勝法?
回答: いいえ、両建てが必勝法ではありません。
市場の予測不可能な動きやスプレッドコストの発生、さらには不適切なタイミングでの使用など、損失を招く可能性があります。
FX取引において絶対的な必勝法は存在せず、両建てもまたリスク管理の一環として理解する必要があります。
国内FXでは両建てが禁止されている?
回答: 実際には、多くの国内FX業者では両建て取引が可能です。
ただし、異なる口座間での両建てを禁止しているわけではなく、主にリスク管理の観点から、同一口座内での両建てが一般的に行われます。
国内業者の中には、ポジション管理機能を提供しており、効率的な両建て戦略を支援しているところもあります。
両建てがダメな理由はなに?
回答: 両建て戦略が「ダメ」とされる主な理由は、効果的な利用が難しいことや、経験豊富なトレーダーであっても適切な判断を下すことが困難であることです。
また、両建てにより短期的にリスクを回避できる場合がありますが、スプレッドのコスト増加や市場の急変動に対応できないリスクも伴います。
適切な状況下での利用や、目的に応じた戦略的な使用が推奨されます。
これらの質問と回答は、FX取引において両建て戦略を理解し、適用する上での基本的なガイドラインを提供します。
両建ては一つの戦略であり、その有効性は市場環境、トレーダーのスキル、経験、およびリスク管理能力に大きく依存します。
適切な知識と準備をもって取引に臨むことが、FX取引における成功の鍵となります。
まとめ
「両建てはFXの最強手法か?」という問いに対して、さまざまな視点からの検討を行ってきました。
メリット、デメリット、そして特に注意すべき点についても触れてきました。
結論としては、両建てはFX取引における万能の戦術ではなく、特定の状況下でリスクを管理し、既に獲得した利益を保護するための有効な手段として位置付けられることがわかります。
両建て戦略は、一時的に市場の不確実性から資金を守り、強制ロスカットのリスクを回避し、さらなる資金投入に向けて時間を稼ぐための方法として特に有効です。
しかし、この戦略を用いる際には、スプレッドコストの影響、適切なタイミングでのポジション管理、そして両建てがもたらす潜在的なリスクへの理解が必要です。
FX取引を始める方々、特に初心者の方は、両建ての基本原理と実際の市場での適用方法をしっかりと学び、練習してみることが推奨されます。
模擬取引などを利用して、実際にリスクを負うことなく両建て戦略を試し、自分自身の取引スタイルやリスク許容度に合わせて最適な使用方法を見つけることが重要です。
FX取引における成功は、一つの手法に依存することなく、幅広い知識、適切なリスク管理、そして経験に基づく判断が鍵となります。
両建て戦略もその一環として、賢く利用することで、より安定した取引結果に繋がる可能性があります。