FXは結局誰が儲かって誰が損しているのか?資金の流れについて解説!

FXで勝つと利益が増えるわけですが、この増えた利益は一体どこから来るのでしょうか?

反対に負けるとお金が減りますが、この消えた自分のお金はどこへ行くのでしょうか?

「結局、FXで儲かっているのは誰?損しているのは誰?」

という疑問について説明します。

FXの損益は競馬のノミ行為と類似

FX取引は市場の動向を見極めながら、顧客と取引業者が互いに売買を行います。

利益や損失を折半する性質を持っており、競馬のノミ行為と類似点があります。

FX業者は市場価格に基づき顧客が望む量のポジションを持たせ、その決済時に生じる利益や損失を支払います。

理論上、500億円相当の取引を行っても、市場においてショートやロングの注文が直接執行されないため、市場価格に直接的な影響はありません。

※競馬のノミ行為も、大量の賭け金があってもオッズに影響を及ぼさないのと同じです。

この原理に基づけば、損失を被るのはFX業者となります。

しかし実際には、利益を得た顧客の反対側に損失を被った顧客もいるため、これが相殺されることになります。

 

カバー会社に注文の一部を流す

さらにFX業者は、全ての取引を単独で処理するわけではなく、カバー会社を通じて市場に一部の注文を流すことがあります。

これは顧客間の相殺(勝者と敗者)だけでは、全てのリスクをカバーできないためです。

通常、取引には手数料やスプレッドが含まれるため、これらで利益を得ます。

また、ショートの注文が異常に多い場合は、カバー会社を通じて上位の市場でショートポジションを取ることがありますし、ロングが余剰の場合はリスクをヘッジします。

 

しかし、これらの複雑な背景を抜きにして、単純にFXの参加者が為替市場で両替を行うと考えてみましょう。

多くの人が誤解していますが、為替市場は単なる両替市場で、厳密な意味での「買い」や「売り」は存在しません。

円を「売る」とは、ドルを「買う」ことを意味し、その逆も同様です。

結局のところ、自分の日本円をドルに変えるか、あるいは自分のドルを円に変えるだけのことです。

ただし、ここには借入行為(レバレッジを含む)が関わってきます。

注文から決済までの間、現金を借りている形になります(証拠金が担保になる)。

 

ゼロサムゲームと呼ばれている

例えば、インターバンクやFX市場で大規模な取引を行う人が、107円のドルを101円まで売買し、2000億円の利益を得たとします。

この場合、誰かが2000億円の損失を被らなければ、帳尻が合わないことになります。

これはゼロサムゲームと呼ばれ、勝者の利益は誰かの損失と等しいのです。

 

FXの影響は一般市民にも及ぶ

これは確かに正しい指摘ですが、FXの影響は一般市民にも及びます。

昨日まで1ドル=107円だったが、今日は101円になったとすると、輸入業者や輸出業者はもちろん、原油、鉄鋼、兵器などの購入者や、為替レートの変動によって給料(ドル建てを円で払うなど)が影響を受けるケースもあります。

これらの業者や従業員は、急激な為替変動によって大きな損失を被ることがあります。

例えば、トヨタやPanasonicが為替差損で2000億円の損失を出した場合、その損失はFX市場の勝者に移転することがあります。

 

一般消費者がFX参加者へ支払う

また、石油の輸入コストが上昇すると、そのコストはガソリンや灯油の価格に反映され、結果として一般消費者がFX参加者への間接的な支払いを行う形になります。

為替市場で生じる大きな損益の勝敗は、FXやインターバンクの参加者だけでなく、輸出入や決済を行う全世界の一般市民にも影響を及ぼします。

たとえば、旅行での為替差益や輸入品のコストなど、日常生活の中でFXやインターバンクの市場操作の影響を受けることがあります。

 

各国は市場介入で安定させる

極端な円高や円安が進むと、政府関係者は市場の過度な操作による国民への影響を懸念し、対策を求めることがあります。

これは最終的に、国民の財布が影響を受けるためです。

そのため各国は市場介入を行い、国家予算レベルの売買を通じて市場を安定させることがあります。

為替相場の損益は、参加者が意識していなくても、全世界の市民、政府、銀行、企業などが関与しています。

逆に取引関係者が大きな損失を被ると、それは一般市民の外国為替決済に還元されることもあります。

 

為替関係者は市場を動かそうとする

一般的には、市場の損益は為替取引で利益を上げる業者が得をし、一般市民は日々の経済活動で損失を被る傾向にあります。

彼らがいなければ為替は安定し、これが市民の利益につながる可能性があります。

例えば、もし1週間でドル円レートが10円変動すると、貿易事業者は大きな影響を受けます。

一方で1年間で1円程度の変動であれば、輸出入業者にとっては大きな為替差損は生じませんが、為替関係者は市場を動かして収益を上げようとします。

 

FX会社のカバー取引の流れ

例:新規注文(買い)、ドル/円、10万単位

1. 顧客は「FX会社」に新規注文を出す。

2. 「FX会社」は、カバー先の「銀行など」に、顧客の注文と同じ数量で注文を出す。

3. 「FX会社」と「カバー先の銀行など」との間で注文が成立する。

4. 「顧客」と「FX会社」との間で注文が成立する。

 

これがFX会社のカバー取引の流れであり、決済時も同様のプロセスが行われます。

では、誰が損をしているのか…?

この答えを見つけるためには、カバー先の銀行などの注文を検討する必要があります。

 

カバー先の銀行などの注文

カバー先の銀行などの注文の内訳:

1. FX会社からの注文(上記のカバー取引)。

2. 日本企業や海外企業が輸出入の決済のために、自国以外の通貨を調達する注文。

3. 海外通貨を自国通貨に換えるための注文(レパトリーションと呼ばれ、決算期に為替変動の要因となる)。

4. 外国株や先物などの売買のための通貨売買注文。

5. 保険会社や企業の資金運用のための売買注文。

 

このように、様々な目的で為替の注文が行われます。

例えば、現時点でドルを必要としている人もいれば、必要でない人もいます。

また、100円でドルを購入し利益を出した人が売りたい一方で、114円で購入し損をしたが売りたい人もいます。

これらの様々な目的の注文があるため、10万円の利益が出たからといって、必ずしも誰かが10万円の損をしているわけではありません。

 

業者は注文を相殺し利益を得る

さらにFX会社では、顧客同士の買い注文と売り注文を互いに相殺することがあります。

例えば顧客Aの10万単位の買い注文と、顧客Bの10万単位の売り注文があれば、これらを相殺させることができます。

2004年から金融商品取引法により、このような内部での注文の相殺は合法とされています。

そのため、FX会社内だけでの取引の相殺を見れば、誰かが損をし誰かが利益を得るというよりは、FX会社がスプレッドやスワップの差で利益を得る構造になっています。

 

FXの資金は主に3つの方向に流れる

FX市場における取引では、資金は主に3つの方向に流れます。

損失を被った人、利益を得た人、そして業者(手数料を稼ぐ人)です。

具体的には、為替市場は巨大な取引量を持ち、多様な参加者が売買を行います。

これには利益追求を目指す投資家、企業間の金融取引、そして両替を必要とする旅行者などが含まれます。

 

このような大規模な金の流れの中で、ある人が通貨を売れば、別の誰かがそれを買っています。

つまり損失を被った人の資金は、利益を得た人のポケットに流れているということです。

これは「ゼロサムゲーム」と呼ばれます。

 

スプレッドはFX業者の利益

ただし、FX取引では売値と買値に差があり、この差を「スプレッド」と呼びます。

スプレッドはFX業者の利益となります。

そのため、損失を被った人のお金がそのまま利益を得た人に流れるわけではなく、取引の過程で発生する手数料(スプレッド)が業者の収益となっています。

 

損失は特定の勝者に移行はしない

結局のところ、FX市場で取引されるお金は、損失を被った人、利益を得た人、そして業者の3つの方向に分散されています。

2007年のサブプライムローン問題による大暴落の際、多くの人が大損を被り、実際に利益を得た人は少なかったという体験は、市場の不確実性とリスクを反映しています。

多くの場合、損失は特定の勝者に移行するのではなく、市場全体の動きや業者の手数料に吸収される形となります。

 

まとめ:大暴落時にも利益を得る人々がいる

サブプライムローン問題による大暴落で多くの人が損をした一方で、為替のプロのディーラーたちは大きな利益を上げたという事実から、市場における資金の流れと勝者の存在が明らかになりました。

これにより損をした人の資金が、利益を得た人に移動しているという「ゼロサム」の原理が理解されます。

 

市場において9割の個人投資家が損をしても、残りの1割が巨額の利益を得ることにより、市場全体としてのバランスが保たれています。

大暴落時にも利益を得る人々がいることを認識し、多くの投資家はその1割の勝ち組になりたいと考えます。

市場を退場した後の自己改革として、為替市場の動きに適応し、トレードスタイルを柔軟に変える能力を身につけることが重要です。

これは、単にプロのディーラーと競合するのではなく、市場の流れに乗り、自分自身の弱点(知識、経験、自己規律)を克服することで実現可能です。

 

FX取引では他人との競争よりも、自己との戦いが中心です。

成功の鍵は自己管理能力を高め、忍耐力を養い、適切なレバレッジを選択することにあります。

FXで利益を得るための最良の方法は、絶えず学び続けることです。

プロ野球選手が数千人の中でトップに立つ必要があるのに対し、FX市場では10人の中で最も勉強をしている人が利益を得る可能性が高まります。

したがって、FXトレーダーとしての成功は、日々の勉強と自己改善によって実現されるのです。